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市立魔法専門学校

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 ゴールが一つのゲームとそうでないゲーム、どちらが好きですか。



 当たり前ですが、エロゲーは女の子のエッチな姿を拝むことができるために、エロゲーと呼ばれます。勿論、一言に女の子といっても様々なタイプがいて、年齢的なものから身体的・性格的なものまで、本当に様々な差異があることは、それはまあ現実の女の子を見ればわかることですね。
 エロゲーでは…というよりサブカル的には、その無数の女の子を何とかして分類・分析するために、いわゆる属性化が進められていることは、データベースであるエロゲー批評空間のユーザーの方々には馴染み深いことだと思います。

 そういった、色々な属性を持つヒロインそれぞれに独自の物語があって、エンディングも様々。今で言う「マルチシナリオ」というのは、エロゲーの歴史においても古く、僕が調べられた限りでは何と8ビット時代(1980年代)に、もうその姿が確認できます。
 では、何故そのマルチなるものが登場したのか…というと、資料が無いので正確なことは言えないのですが、恐らく“可能性”というワードに集約されるのではないかと僕は考えています。


 一つは、商業的な面。
 現在はその姿を変えつつあるのかもしれないとはいえ、少なくとも嘗てのエロゲーは「オカズ・射精産業」といえました。(主に)女の子のエッチを売ることで、会社が経営されていたということです。会社は利潤を追求することが命題であるため、売り上げを伸ばすためにはどうしたらよいか考えることになります。当然、沢山の人に買ってもらうには、沢山の人の興味を惹かなければなりません。
 そこで、より多くの人の好みに対応するため、ヒロイン複数制が採用されたのではないでしょうか。例えば、ロリータ一人にスポットを当てた作品だと、主な購入層はロリコンの方々に絞られてしまいます。では、ヒロインをロリータと熟女の二人にしたら…? 更にその中間を入れたら…?
 それが、沢山の女性と交わり子を残したいという本能に繋がるかどうかは怪しいものですが、少なくとも一本のパッケージでより多くの“好み”にアピールすることが可能になります。
 近年は属性に特化したニッチな作品も増えてきましたが、ロリから大人まで、一通りのヒロインを揃えたエロゲーが無くならないのは、この名残といえるでしょう。


 ただし、これだけではマルチシナリオが一般化した説明にはなりません。何故かと言えば、別に一本道の物語でも複数の女の子とエッチさせることは可能だからです。

 …恐らく、エロゲーにおける物語性と恋愛色が強まっていったことに関連するのではないかと。


 物語性については、シナリオを分岐させることでより厚み・深みのある物語を描けるようになるから、という点が挙げられると思います。「あの時、もし違う選択をしていたら…」というのは、現実で誰しもが思うことですが、ゲームだとこれが容易に再現出来ます。
 選択肢によって物語の角度を変えて見せたり、違った結果を知らせることで、選ばれなかった選択(物語)に更なる意味をもたせること(ルートの再評価)が可能になるのは、バッドエンドや視点変更などを通して、皆さんも体感したことがあるはずです。
 ここは表現の幅を拡げたと言い換えてもいいでしょう。

 恋愛色の強まりはまさにそのまま。
 ルートごとにヒロインを決めることで純愛をアピールできます。まあ、恋愛にも純愛にも様々な形があるので何とも言えない部分はあるのですが、それでも、恋愛の云々を最終的に一対の男女に絞るのなら(現行日本でいう普通の恋愛感に合わせるなら)、この形式は非常に都合が良いんですね。
 というのは、ヒロインを複数登場させても、「それはまた別のお話」ということにすれば、主人公が一人でも複数のヒロインとの恋愛(≒純愛)が成り立つからです。もっともこの場合、物語の主役は主人公ではなく、ヒロインといえるのかもしれませんが。

 この、物語性と恋愛色の強化に相互性があることは、いわゆる「トゥルーエンド」や「グランドエンド」というものの存在から察することが出来ます。そこに商業価値が嵌ったからこそ、マルチエンドは普及したのでしょう。

 そして、その形式の更なる助長をもたらしたのが、“萌え”ひいてはキャラクター重視の考え方ではないでしょうか。
 ようするに、個別ルートの概念を生み出し、そこでヒロインを一人に絞ることで、よりキャラクター性が磨かれるという点において、“物語ありき”ではない“キャラクターありき”の作品の爆発的な増加を担ったのが、マルチシナリオなのではないかと思うのです。


 僕は、マルチシナリオが悪いものだとは全く思いません。構成・見せ方によっては、一本道のシナリオよりも面白味のあるシナリオを書くことが出来るでしょう。けれども、批評空間POV「ゴールが一つだけのゲーム」にもあるように、マルチシナリオには多くの欠点も存在します。
 ルート分岐程度ならまだしも、共通ルートでばら撒いた伏線を個別ルートで必要なものだけ拾い、後は放置といった、伏線の投げ出し。ヒロイン別に担当が異なる複数シナリオライター制による、シナリオ間の齟齬、整合性の欠如。意味・意義の薄いサブキャラルートやバッドエンドなど、シナリオ・エンディングの水増し。トゥルー・グランドエンドのだけ為に用意され、使い捨てられるシナリオ・キャラクター…。
 などなど、非常に多くの問題も抱えているのです。
 そして、近年では、『Dies irae』『Garden』などの騒動にも一役買っています。


 …さてさて、貴方はゴールが一つのゲームとそうでないゲーム、どちらが好きですか。


 テーブルトークRPG、ゲームブックを経て、ゲームの世界で独自に進化したマルチシナリオ。
 商業的な兼ね合い・大人の事情もありますから、そう簡単に注文をつけることは出来ませんが、出来ることならば、「この作品は何故マルチシナリオなのか」くらいは頭に入れて置いた方が良いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。…メーカーさんも、ユーザー側も。



 しっかり作ってありゃどっちも好きだ…というのを無理矢理置いておくのなら、僕は前者です。作品を全体で評価する場合、ゴールが一つの方が何かと都合がいい(考察するのも感想書くのも、整理が苦手な僕としては楽)ですし、そういう作品の方がやっぱり纏まりが良いものが多い気がしますので。

 でもま、発売直後に前言撤回・隠蔽するようなものはともかくとして、公式ページに「こいつとこいつは攻略できます」とか「この作品は一本道です」とか書くのも、書かせようとするのも、何だかなあと。そんなの始めから盛大なネタバレされてるも同然で、全然面白味ないと思うのですが。
 元々の攻略性の低下に加え、攻略ページの充実によって、ルート追加、隠しシナリオ・ヒロインなどの存在価値は薄れつつあります。情報の充実は、もしかしたら、マルチシナリオの魅力を一つ失わせたのかもしれませんね。
 …これも多分、どっちもどっちなんでしょうけど。
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