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市立魔法専門学校

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 僕がこれから先、VOCALIDのあれこれ書いてゆくとしたら、まず何よりも先に書かなくてはいけないのが、この『みくみくにしてあげる♪』についてだろう。
 ご存知の通り、初音ミク…というよりも、音声合成ソフトによって作られた楽曲の中で恐らく最も有名な曲であり、ニコニコ動画において、マイリスト歴代1位・再生数歴代2位(共に2009年8月現在)を誇る、初音ミクの代表曲である。象徴する曲と言い換えてもいい。

 さて、ミクの名前を聞いたことがあるのならば、まず知らない者はいないこの『みくみくにしてあげる♪』だが、作者によってニコニコ動画に投稿されたのが2007年9月20日。DTMソフト『初音ミク』の発売日が2007年8月31日なので、ミク発売から一月も経過しておらず、まさしくVOCALOID黎明期の作品といえる(勿論、音声合成ソフトは遥か以前より存在していた。また、MEIKOKAITOといったVOCALID第一世代(ミクは第二世代)自体もリリースは古く、ここでいう黎明期とはごく一般的な普及が始まったことを指す)。

 この頃といえば、僕がニコニコ動画に最も嵌っていた時期で、ご多分に漏れず初音ミクへの関心も高まっていた。…が、この時僕が主に聴いていた曲は『おしえて!だぁりん』『Ievan Polkka』で、ランキング上位で祭状態になっている『みくみくにしてあげる♪』には、それ程頻繁には近寄らなかった。
 というのは、嘗ての僕はいわゆる“祭”にはあまり興味の無い人で、且つニコニコ動画は好きなものの、コメントはあまりしないユーザーだったからだろう。

 初期を彩った『レッツゴー!陰陽師』『true my heat』などの動画を見たことがある人ならわかるだろうが、当時のニコニコ動画は“弾幕”が人気を博しており、弾幕の厚さは人気のバロメーターといえた。
 サビの「みっくみくにしてあげる(やんよ)」における弾幕を見れば、『みくみくにしてあげる♪』が盛り上がった理由の一つがわかるだろう。ボコボコにしてやんよAAの効果も含め、時流に乗ったことが更に『みくみくにしてあげる♪』を時代の寵児へと押し上げたのである。

 こうして人気のピークを迎える『みくみくにしてあげる♪』だが、まさに絶頂といえる時期に、この曲は変革の時を迎える。

 詳しくはこちら

 青天の霹靂といっていい。多くのユーザー、楽曲制作者たち、そして恐らく何より『みくみくにしてあげる♪』の作者にとって、衝撃的な出来事だったろう。
 VOCALOID、そして初音ミクは、著作権・金銭といった問題に本格的に足を踏み入れることとなったのである。
 当時、本家動画は荒れに荒れ、一部の心無いユーザーによる罵詈雑言が弾幕となって動画を駆け抜けていった。作者を励ます声、問題についての見解、初音ミクへの思い。そういった様々なものが、コメントや動画、楽曲となって、一種の混沌を形成した。

 結局、年末にこの騒動には一応の決着が図られるが、当事者以外はこの件についての顛末、詳細を知り得ていない。しかし、イメージとしての『みくみくにしてあげる♪』に大きな打撃を与えたのは間違いないだろう。以後、暫くの間、この動画は荒れることとなる。

 それでも、曲を聴いたことによって、件の問題を通して、何がしかのシンパシーを受けた人が本当に大勢いたのだろう。その後も、この曲のアレンジ、オマージュといった関連動画は後を絶たない。
 そうした時間の流れの中で、『みくみくにしてあげる♪』は次第に傷を癒していったのだろうか。
 最近でも、VOCALOID関連初のコンシューマーゲーム『初音ミク -Project DIVA-』における開発元・SEGAの公式宣伝動画(現在は公開終了)に採用され、『初音ミク ベスト~impacts~』と名乗ったアルバムCDで事実上のトップ曲を飾るなど、やはり別格の存在感と輝きを見せつけるのである。

 先の事件を目の当たりにした時の、何とも言えない悲しさを体験している者として、苦しみ、傷付きながらも、常に先頭を切って道を切り開き、邁進してゆく『みくみくにしてあげる♪』には、感動すら覚える。
 僕らが通る道は、彼女が作った道なのだと。

 紛れも無く、生きた伝説。それが『みくみくにしてあげる♪』という曲なのである。


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